FXの法人化するタイミングっていつ?
法人化するとどんなメリットがある?
どれくらい稼げるようになったらFXを法人化すればいい?
本記事では、このような疑問にお答えします。
個人トレーダーとして、収益が安定してきたら法人化を考える方も多いでしょう。法人化して得られるメリットはある一方、個人トレーダーのまま稼いでいた方がお得になる場合もあります。
法人化した方がお得になるのであれば、サクッと法人を設立して稼いで行きたいですよね。
本記事では、以下の内容を軸に解説します。
- FXの法人化する目安
- FXの法人化をするメリット5選
- FXの法人化をするデメリット
この記事を読めば、FXを法人化する際に考えるべき判断基準が分かるようになるでしょう。
ぜひ、最後までお読みください。
FXの法人化する目安は年の事業収入600万円以上
FXで稼げるようになってきたら、法人化を考える方も多いでしょう。
個人口座で取引するよりも、法人口座で取引した方がお得になるラインはどのあたりになるか、気になるところです。
ここでは、法人化すると良い目安を3つ解説します。
年の事業収入で言えば、年収600万円以上がFX法人化の目安とされていますが、その他にはどのようなポイントがあるのでしょうか?
さっそく、見ていきましょう。
法人税を考えるとFXで月60万以上儲けられるのが望ましい
月収で判断するのであれば、月収60万円以上FXで稼げるようになっているのであれば、FXで法人化すると良いでしょう。
法人税は、年800万円以下の部分に対しては15%の税率であるため、個人で支払う税率20.315%よりも安くなります。
FXで法人化すると、支払わなくてはならない税金の種類は増えるというデメリットはあるものの、経費を活用することで納税額が減る可能性があるのです。
個人事業主や副業としてFXに取り組むよりも、法人の方が経費として計上できる範囲も一般的に広いため、法人化した方がお得になることもあります。
売上高年1,000万円を超えるタイミング
売上高が年1,000万円を超えると、消費税の支払い義務が発生する場合があります。
厳密には、2年前の課税売上高が1,000万円を超えると消費税課税事業者となり、消費税を納めなくてはなりません。
ポイントは、2年前の課税売上高という点です。
2年前は個人事業主で稼いでいたとしても、法人にしてしまえば事業形態は変わるため、課税売上高が発生しません。
つまり、1,000万円近く儲けていても、消費者免税事業者になれるのです。
税制上の基準期間を上手に活用することで、上手に節税できます。
海外FXの場合は法人化の方がお得なことも
海外FXは総合課税扱いになるため、所得税が累進課税制度に沿って決まります。
個人で海外FX業者を利用し取引している場合は、累進課税制度が適用されることにより、年間の所得が695万円を超えると所得税の税率が所得の23%、900万円以上で33%になります。
国内FX業者利用の場合は、税率は一律約20%となるため、年間の海外FXからの所得が695万円を超える場合は、国内FX業者を利用した場合よりも税率が高くなります。
このように海外FX業者を利用して利益を上げている場合、所得によっては国内FX業者よりも支払うべき税金が高くなることもあるのです。
しかし、法人化することで海外FX業者を利用していても、税率を低くすることができます。
日本の法人税は、法人所得が800万円以下の場合は税率が15%、800万円以上でも23%となっています。
所得の金額によっては個人にかかる所得税よりも法人税の方が安くなり、節税できる可能性も高いです。
しかし、法人化する場合は法人税だけでなく、法人住民税や法人事業税などが課税されるため、所得税が低く抑えられるからとすぐに法人化するのはおすすめできません。
法人税以外の税金はいくらかかるのか、何を経費で落とすのかなどを考えた上で法人化すると良いでしょう。
FXの法人化するメリットは経費!車は経費になる?
FXを法人化することで得られるメリットを5つ紹介します。
法人化のメリットにおいて、大きなウェイトを占めるのが経費です。
上手に経費として計上していくことで、節税につながります。
また、経費以外のメリットについても知っておくことで、法人化する際の役に立つでしょう。
事業に必要なものと判断されれば経費として落とせる
FXを法人化することで、経費の幅が広がります。
法人化することで算入できる代表的な経費は以下の3つです。
- 保険料
- 役員報酬
- 社長の給料
主に、役員報酬は上手に活用することで、課税所得を大幅に減らせます。
家族や親族を社員にして、給与を支払う形態にすることで、大きな節税効果が期待できます。
他には、退職金なども経費として計上できます。
法人化すると経費の幅広がり、節税するための選択肢が増えるというメリットがあります。
定款によっては車も経費にできる
FXで法人化しても、定款を工夫することで車の購入代金も経費として計上できます。
FXは基本的にパソコンで取引が完結するため、移動は必要としません。
しかし、定款でFXの他にも不動産などの移動が必要な事業を入れることで、経費で車を購入することを認められるケースがあります。
つまり、定款に入れる事業次第になるため、法人を立ち上げる際は定款の内容を工夫する必要があります。
FXで法人化を果たしたいと思った場合でも、定款には他の事業を入れ込むことがある点を抑えておきましょう。
繰越控除の期間が長い
損失額の繰越期間が、個人と比べて非常に長くなるのは法人化する大きなメリットです。
個人の場合は、損失の繰越期間は最大3年間です。
一方、法人は、繰越期間9年間になります。
個人の場合、最初の3年で30万円ずつ損失を出してしまうと、4年目からは1年目の損失は繰越期間から外れてしまいます。
つまり、1年目の30万円は売上高と相殺できないのです。
その点、法人化してしまえば、9年間繰越控除が受けられるため、4年目に突入しても1年目の30万円分の損失は失効しません。
4年目の取引で90万円以上の利益を上げれば、前3年分の損失額の合計90万円を利用することで、売上高を大幅に減らせます。
黒字の年と赤字の年のバランスをとりやすい点が、法人化のメリットと言えます。
相続税対策にもなる
FXを法人化することは、相続税対策になります。
FX法人を株式会社として立ち上げれば、その法人は株主のものとなり、配当を株主に渡します。
つまり、相続したい人を株主としてしまえば、配当という形で資産を移動させられるのです。
相続したり贈与したりすると、高い税金がかかってしまいます。
法人の株主配当という仕組みを上手に利用することで、税金を支払うことなく資産を若い世代に渡せるため、相続税対策として有効な手段と言えます。
法人の場合はレバレッジを多くかけられることも
法人口座の方が高いレバレッジをかけられることは、法人化するメリットの1つです。
個人トレーダーが国内FX会社で取引をする場合、レバレッジは最大25倍と決められています。
一方、法人口座の場合は、通貨ペアと週によって最大レバレッジが決められているFX会社があります。
例えば、みんなのFXの場合は米ドル/円の最大レバレッジは102.04倍です。(2021年12月27日時点)
つまり、法人口座では25倍以上のレバレッジをかけられるのです。
会社によって、法人口座でも25倍に制限している場合もあるため、法人化してハイレバレッジで取引したい方は注意が必要です。
FXの法人化をするデメリットは税金!税率や雑所得の扱いは?
FXを法人化するデメリットはどのようなポイントでしょうか?
ここでは、特に税金にフォーカスを当ててFXを法人化するデメリットを深堀していきます。
個人事業主や副業として取引をしていた方が、お得になる状況も少なくありません。
法人化する際は、自身の状況と照らし合わせながら、税金面で得できるのかどうかをじっくり考える必要があります。
さっそく見ていきましょう。
個人の税率は20.315%・法人の税率は売上で変わる
個人と法人では、税率が異なるためどちらが安く済むのかを総合的に考えて、法人化するかどうかを決めると良いでしょう。
個人で稼いでいる場合の税率は20.315%となります。
内訳は以下の通りです。
所得税(15.315%)+住民税(5%)
一方、法人税は800万円以下の部分に対しては15%で800万円以上の部分に対しては23.20%の税率が課せられます。
800万円を境に税率が変わるため、注意が必要です。
法人税の経費などを一切考慮せずに、個人と法人の税負担額を比較すると、2300万円前後で法人税負担額の方が個人の税負担よりも大きくなります。
つまり、2300万円以下であれば法人税の税負担の方が小さいのです。
もちろん、実際の税負担額は経費やその他の税金などでも上下するため、単純ではありません。
課税所得が2300万円を超えるような場合は、個人よりも法人の税率の方が高くなることは押さえておきましょう。
個人よりも税金負担が大きくなることも
個人と法人を税率だけで比較すると、法人税の方がお得と感じる方も多いでしょう。
しかし、法人化すると支払わなくてはならない税金の種類が増え、結果として税負担が大きくなる可能性があるのです。
法人が支払わなくてはならないお金について、代表的な例を紹介します。
- 法人税
- 法人事業税
- 法人住民税
- 社会保険料
これらのお金の支払い義務が発生することで、個人よりも負担が大きくなる可能性は充分あります。
法人化のデメリットについて、詳しく紹介した記事はこちらです。
気になる方は、参考にしてみてください。
海外FX法人化の注意点は?
海外FXで法人化する際の注意点を紹介します。
国内FX会社で法人口座を開設するのと比較して、海外FXで法人口座を開設する方が手続き面でハードルが高くなります。
海外FXを利用する際の注意点を詳しく見ていきましょう。
提出書類が多いので注意
海外のFX会社で法人口座を開設しようとすると、個人口座を開設するよりも手続きの量が増えます。
法人口座開設の際に必要になる書類の例は以下の通りです。
- 本人確認書類
- 現住所確認書類
- 履歴事項全部証明書
- 株主名簿
- 法人住所確認書類
- 取締役決定書
などが挙げられます。
手続きが複雑になるため、あらかじめ必要なものをリストアップして、計画的に書類を準備することをおすすめします。
日本国内の法人口座の開設が可能か調べておく
海外FXで法人口座を開設すると、国内の法人口座を開設できなくなる可能性があるため、注意が必要です。
ほとんどの海外FX会社は、国内の法人口座を開設することを認めているものの、一部の会社は法人口座の掛け持ちを認めていません。
国内でも海外でも法人口座を持ちたい方は、口座の掛け持ちが可能かどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。
海外FXは個人と法人で違いは少ない
国内FX会社の場合は、個人口座から法人口座にすることで、レバレッジの上限が高くなるなどのメリットがあります。
一方、海外FXの場合は、レバレッジの上限が変わることもないため、個人口座と法人口座に大きな違いは見受けられません。
海外FXの場合は、個人口座でも高いレバレッジをかけられるため、敢えて法人化する必要がないのです。
税制上有利になる点はあるものの、敢えて海外FXの法人口座を利用するメリットはそれほど大きくないのが実情です。
海外FXの法人口座で取引をする目的が明確でない場合は、国内FX会社で充分と言えるでしょう。
FXトレーダーが法人化する際の会社名や定款のコツは?
FXを法人化する際に注意すべきポイントについて3点紹介します。
法人設立時に注意深く手続きを進めておくことで、その後の事業運営がやりやすくなります。
具体的なコツを詳しく見ていきましょう。
会社名にはFXを付けない方が無難
法人を設立する際にFXを前面に打ち出してしまうと、銀行口座を開設する際に信用を得られず断られる可能性があります。
そのため、会社名にFXを入れないようにしましょう。
おすすめとしては、FX以外の事業も想定し、そちらの事業を主とした社名にすると良いでしょう。
もちろん、FXで稼いでいくことは社会的になんら問題はないものの、書類提出先の金融機関が受ける印象として、不利に働く場合が多いです。
FX以外を連想させる社名をつけることは、決して嘘をついているのではなく、複数ある事業のうちの1つを代表して社名にしたに過ぎません。
そのため、社名にはFX以外を連想させるものにしておくことをおすすめします。
事業目的や定款にはFX以外も書く
定款に記載されている事業がFXだけである場合、書類提出先の信用を得にくいです。
そのため、FXだけを事業内容にするのではなく、いくつかの事業を併記して定款を作成するようにしましょう。
実際、FXで儲けた資金を用いて他の事業に展開することも可能です。
将来を見越したうえで、FX以外の事業を併記しておくことで、後々同じ法人名義で事業を展開できます。
定款の事業目的には、FX以外の事業もいくつか用意しておきましょう。
資本金は最低100万円を設定する
資本金は最低100万円以上準備することをおすすめします。
なぜなら、銀行口座開設時に資本金が100万円以下の場合、審査を通過できない可能性が高いからです。
FX会社で口座開設する場合は、1円からでも法人化は可能ではあるものの、金融機関との関係を考えた場合、資本金100万円は妥当なラインと言えます。
また、資本金を1000万円以上準備してしまうと、消費税の納税を初年度から求められるため、おすすめしません。
以上のことを総合的に考慮すると、資本金は100万円以上1000万円以下で準備すると良いでしょう。
FX法人化をサラリーマンが行う際の注意点
法人化した後、サラリーマンの方が気を付けるべきポイントはどのようなものがあるでしょうか?
結論から言うと、住民税の額は注意すべきポイントです。
なぜ、住民税の額に注意する必要があるのかについて詳しく紹介します。
法人から役員報酬を貰わないことがおすすめ
役員報酬を受け取らないようにする理由としては、会社にばれる可能性が高くなるからです。
役員報酬を受け取ってしまうと、総所得の額が上がり、住民税の額が増えます。
サラリーマンの住民税は給与から天引きされているため、会社の経理部門の目に住民税の額が触れます。
その際、他の社員より明らかに高い住民税になっていると、会社からの給与所得以外の収入があることがばれてしまうのです。
副業を禁止している会社の場合、バレた後の後始末が面倒になる可能性があるため、できる限り会社には隠しておいた方がよいでしょう。
会社が副業を禁止していたとしても、法律には会社側が従業員の社外活動を制限する権利は無いため、社会的には問題ありません。
それでも、社内的な問題は発生する可能性があるため、役員報酬は受け取らずに会社の利益としておくのが無難でしょう。
FX法人化の目安は事業収入か売上高で決める!
FXの法人化を考えている方が注意すべき目安は以下の2点です。
事業収入 | 累進課税制度に適用されるため、経費による課税所得の削減が大切 |
売上高 | 1000万円を超えると消費税納税事業者になる。免税事業者でいられる2年間を活用 |
この2点が判断の軸になるでしょう。
その他のポイントについては、手続きの煩雑さや勤務している会社との折り合いににも夜でしょう。
法人化するメリットとしては、経費による課税所得の削減を大いに活用できる点が挙げられます。
FXで法人化を検討しているのであれば、事業収入と売上高を軸に判断することをおすすめします。
まとめ | 法人口座のおすすめ3選
法人口座についてまとめましたが、それらを踏まえて当サイトがおすすめするFX会社を3選ご紹介します。是非開設してみてください。
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